2014-09-15から1日間の記事一覧

月見草

月見草 前の無い 月日にあしぶみ 咲くはあき世 手をばいれては 花てつぽう 足のない 初なこいぶみ 憂くはこの世 桶に咲く月 するりと鰻 後のない 闇夜にくるぶし さわるは今ぎわ 鏡をぬつては あくなき空

暗夜

暗夜 灯りはなかつた 縁むすび 暗夜を漕いでは 又、文むすぶ ざまはなかつた 汗をかき 石の路つんでは 又、のぼる さつをこゆれど 櫂のない 舟人ばかりに つと、のしかかる 砂をにぎれど 灰汁だらけ 只、在るのは こがねの月ばかり

詠 人の世に 在りし日の詠 なぞらへど 人の影すら 手にあまりける はなむけに 咲きたるるのは 礼なりし 我が躰をば こがるものかな

蔓 くもりちる かづらつる さみだれ丁 かさぶたの 泪のつぶて ひかりみつ あかまくら いびつな夏 かきむしる

家主の仮面

家主の仮面 靴はいて くたびれて あまもりしたらば 信号の立つ庭に 家主の仮面が ゆらんとたれて あまもりだいたら ハンケチ濡れて 仲なおりしたらば 見本市の恋の 鏡は紅色 ぐるりと廻し はなしあきたら お財布出して あまりもりしたらば 見本市の藍の 雨は…