2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

河童

河童 矢鱈と改行された砂子の泊り ほうしいつくつく毬栗頭 さげた盆のころあいには 頭巾のおくでわらつています お鏑なつてはお鐘もなり 駒のおんもぴたんとなつた くらかえした文月の馬は かけあしでかけはしです 女中にぼんをもたせては ことくるたびお茎…

途中峠

途中峠 くつひも結んだ雲ややこ 文つきては蜘蛛の糸 あらかたほどいた日和は まるでわかれた女房のやう ひきつた伝馬は水をのみ あいわかつたと走ります すだれの柳は暮れにゆれ なみだぽろんとこぼれます われがわれがと人の群れ ややこを抱いた女の暮れ あ…

御所

御所 なつの角すぎ 囲碁の檻 すきの間あんで 娼妓の膿 のみの坂すぎ 刺青の瀬 あいの手いきて 内裏の庭 ちいのおさいふ 掏児の懐 琵琶弦きれて 古都の舟

わつき

わつき わにつきみず みずにわつき 円かいたなつ たけひごあみ 丸竹にわつき なつ水かがみ うつせみかげ かげぬつた琴 けさきたなつ おしおいけ鉾 きものにつき うちわにつき おとうり大橋 わつきにはし たべうりさけ かえりにつき おれにはしは わたれぬのか

遊郭

遊郭 とおい舟人 わらじのあし 尼寺のいけ ずきりと縁切 株きつた人 たつきのなし 古池のいど ばさりと踏切 傘きた行灯 こうしの甲乙 天井のしみ たがえど是切 小判のお月 たずねのそら 廻りのすえ ばさりと首切

此んな一夜は

此んな一夜は 此んな一夜はぼろんちよ たたみをビスでとめはねて あけた瓶のうすかわよ ながれついた捨子のちよ ほとりのさめたころあひに とおい故郷をおもひだす 胡弓で踊るちくりんよ こがれないたかげの染み 其んな夜ながはぼろんちよ ゆめをビスでとめ…

瞽女

瞽女 くずのはわかれ でんでん太鼓 あいあいわかる 魚の詠 ぐず女のさじき あいのり三線 こいこいわかる 瞽女の詠 おはやしめんこ くずはの屋代 こがるるやなぎ 瀬田の詠

一夜

一夜 こんな夢を見た。 頑是無い子や、買ってきなさいな、と女将は太一郎に言った。油が切れていた為に、灯りが店になかった。太一郎は象の箱のマッチを擦りながら、町まで一人向かうことにした。一本、二本、三本、四本、と擦ると、たちまち灯りがぽうぽう…

鵬 月夜を横切る鵬の名を 天秤にのせてみるのだが いつこうにかたむかんぜ くろい羽をはばたかせ 南帝にのせてみるのだが いかんせんかぜふかんぜ (子、曰く) 天と千はつがいで ここらは白髪三千丈 点と線はちだまりで おいら宙に文字を書く (子、曰く) 貴妃…

団子

団子 おかみ串団子 蒲団 おぐし櫛団子 ビトン いじきた男子 ズドン かしまし女子 朱欒 ぼんたん団子 蒲団 濡れた向日葵 明鴉

冨美枝

冨美枝 おしもんどう ふみえの名を だきまくら駒 おしならべて おしなさだめ ゆめまくら香 甲冑着た胡麻 ふりかけては あぶらの小路 蝦蟇のお線香 かぎわけては にしきの小路 こてしらべて 胴ぬいたるは もののふ情事

どぶろく

どぶろく しやもじさみせん すみませんお京阪 さみせんしあしあ さみせんきんせん ふれませぬ猫の革 さみせんしあしあ びわほうしおたべ もうもくの宿の足 べべんとさあさあ きつねのさみせん とうだいずいいち 子守唄べべべんと あわれ女に恋せん どうだい…

拍子

拍子 せみ 黒いあぶく かぶく みせ みせ 黒いひとみ とじる みせ せみ 青いおあい こわい かげ みせ 白いふう鈴 せみ はつ せみなき 慕情 くれ こいなき 家具 せみの声 ほうし いけしあしあ みせの出囃子 こうし いけずあし りん はやし 轟轟 まひる おどる…

大和

大和 あげくのはてかるたさんざんでたちのまちなれのはてはがきまつやじろべえらくがきわれの狛をまえあいどんとのあいどんとのあいどんとのここはんのてまえあいつぱいじや

舟 たからぶね たきのあせ おいどくむ たからいけ かりのまい たちくらみ おたのしみ こいのたき ふられよい まいのうみ かたなとぎ きられぞん ひがしやま すとらいき わかれぞん さんびやう さんびやう さんさんと あついくも よあけの庭 こいすがる

水墨

水墨 等伯 水墨で日 暮六 すごろく 小六 六地蔵 角町 杖ついた 毬ついた 紅白 垂幕で偲 明六 火打石 おかみさん かんかん 頬ついた 袖ぬれた 円町

しゃもじ

しゃもじ へのへのもへじ だるまさん 亜鉛つめた文字 はくまいたいて あげまさん 番傘ぬれた和紙 へろへろこいじ やつこさん 鰻をやいた花街 かばやきいつつ やきまさん 万丈つめた格子 あるきやこいじ あねこうじ 刃びいた夢の乱 ずぶぬれやすじ 下ル あい…

舌 絶交の機や 西陣の 雲がくれ月 絶好の機や 西院の 霞がくれ陰 按摩の峰や 叡山の 鏡がくれ三 掛軸の宿や 無頼の 銭がくれ金 絶交の宵や 舶来の 傘がくれ粋 梅雨の債や 先斗の 酒がくれ泥

太宰府

太宰府 ひふみの嬉野 あじのない どれみの嬉野 ろじのない かれきの嬉野 紫陽のない おそその嬉野 さがのない いちごの嬉野 あかのない おちごの嬉野 せきこえて たび ついの太宰府 ながれつく たび あるたび ついの太宰府 こがれつく ひふみの嬉野 あじのな…

漁村

漁村 其れは漁村にありました まるで塩でできた角材のやうな ちいさな漁村でありました ここらは ぎょぎょ が通信簿です 剣舞は潮騒のやうに踊り ほつたて古屋に立ちおうじやう おそそがらくた波打ちきわ 砂の驢馬は古典のたづな引き あげくのはては目目目 …

ピストル

ピストル 南部十四年式で うった文字たちは (BANG!BANG!BANG!) 月に流れていきおる 大正刷るます 綺麗にするましたね あノ、夕暮れが片目に染みて まるでからまわりです きてれつはえれきてる 駅でまつていてください きつと 駅でまつていてくださいね 明治…

揺籃

揺籃 くだらないこい ようらんのちえ みくだりはんおとし つぎはぎのこい おぶのんだちえ みくだりはんおとし くりからとうげ おつきてんぐの みくだりはんおとし いばらのはら つぎはぎだらけ うたかたの竹の秋

角 角 角は魚の標識 魚 角は鉢に 滋味津々 箱 小箱に硫黄をつめた 過 ぐりん 小金の走馬灯 ここらは しぼんだおかつぱり 煉瓦のおかつぱり あノ、浴衣着たこころは まるでそらまめの角でした 雨 丁丁丁 傘 丁 あノ、浴衣着たなみだは まるでよどがわの魚でし…

短歌

短歌 煙管の手 さくやくつめて 牡丹うつ はいたけむりに 紅い恋 少女の手 こいぶみそえて 牡丹ちる よごれたかがみ 乱れ髪

脱兎

脱兎 泪の点滴が樹海の血管をめぐり 月の砂浜はガラスの欠片を拾い 午後の宝石だけが手もとにのこった 模倣品の夢は毎晩、俺たちの岩を削る 重力のない美しさだけが風景を描く

床屋

床屋 そらはじゆずつなぎで かんばんがおちてくる かいぶんはおろおして ぬりかべはへつつい とこやははまべなのか かんばんはないている あついくもびるのびて いくつもせきをこえて かげはなかばをすぎた ころあいはしちがつの いくつもとこやすぎては し…

撥条

撥条 ぜんまいで夢まいて あくるひ ぜんまいで恋まいて あるくひ ぜんまいで種まいて かなうひ ぜんまいで栓ぬいて あびるひ ぜんまいで夢だいて こがるひ きかいじかけの夢は あくるひ

花電車

花電車 トンネルは鉛筆(花電車)ケシカスは雲(蛇花火)ランプは手鏡(花団地)ワルツは紅花(花時計)火祭り下ル(泣看板)カンカンカン かんかんかんトンボは夢うる 三角定規の旅でした

金具

金具 ひだりめきみつきみ 剃刀できりとつた月 宵はごはさんになつた みぎめわれしろくろ 獅子舞でつきついた お小金もちかごやさん りようめおはぐろ辻 うちかけかけるつき まつくらのおつきさん ひだりめかためつき 金つき溜息つくつき 宵はかたくなになつた

洋琴

洋琴 白いピアノの階段で ちやきちやき狛犬お遊び くるくるとおまわりばらんぽろん ぽろんばらん ばらんぽろん黒いピアノ衣擦れて いたいいたい小娘お遊び ぽろぽろとおさがりぽろろぽろろ ぽろろぽろろ ぽろろんぽろぽろ鳴いた郷里は土間で うりきれた黒鍵…