2015-04-01から1ヶ月間の記事一覧

禁門ノ変

禁門ノ変日々ノ門 西ノ院二通詰メ モロトモニ 花ノ散ルヲ見ル 閨二入リテ 勝手ヲ赦ス事 数刻 鏡ノ前 髪ヲ梳イデ 床几二モタレ 菊ノ花 モロトモニ 無体ナ作法デ 生殺 是二飽イテ 押小路西入ル

けむり

けむりおたばこぼん はんめでもんめ ながめていた まなかにわけた ながしめで せきころしては ちのまじつた けむりをはいて こふこふやる たちのぼつては またはいて ぼんにはいおとし てのひらを じつくとながめて はんめにもんめ とこのまに つんだなみだ…

十牛図

十牛図ガリ版で刷られた そんな季節がありました 瑪瑙の汽車が せわしくあちらにこちらにと 紙幣のやうな人たちは まるきり寸法がちがうのです 天然痘にかかつた月を ぼやりとみておりました 仇し野のほうがくでは どうやらおいろやら 蓑やらがうつているや…

雪隠

雪隠おつぱじまつた銅鑼の宵 かごめやかごめ おあしがすこし足りまへん 雪隠のかかみのまえで ほそいたばこをのんでいる いやにながいやつだつた ながいつとめの束の間に かごめやかごめ 煙のやうなやつれた頬に さいた花弁を鋏にて ぱちりときりとつては 其…

無題

無題こんぺいたうが おゆびに透けては 又、ひとやすみ つけたお代かさんでは はやがけのやうな ひかりの銛やら お空にういた いろがみやらが あちらこちらに ころころがつては めじろのやうな おとたてことたて 襟のつつぱた新緑も おいろぬけおち 又、手前…

無題

無題かけた縁も臍を曲げ 硯の庵にもぽつぽつり ふぐりが咲いたころ こむらさきの雨たけが お樋にたまつてゆく いちどかつんとやつては またじつとそれをまつ 薄紅いろがまじつたり こはくいろがまじつたり 百色眼鏡のひやをのみ 丈で百乗の泪をのみ 枯井戸の…

無題

円山にてしだれのぼやを眺めていた あちらこらちらに灯がともる 初潮の乙女のやうな具合で一間さきの射的屋では 面をつけた子坊主が ぱちりぱちりとやつていたとおりすがりに宵がきた 藪のむかうで指くわう 稟のないふしだらなさで三色刷りのまるやまは 不是…