無題

無題

かけた縁も臍を曲げ
硯の庵にもぽつぽつり
ふぐりが咲いたころ
こむらさきの雨たけが
お樋にたまつてゆく
いちどかつんとやつては
またじつとそれをまつ
薄紅いろがまじつたり
こはくいろがまじつたり
百色眼鏡のひやをのみ
丈で百乗の泪をのみ
枯井戸のそこに咲いた
手前こはるをそつと摘んだ