2016-09-01から1ヶ月間の記事一覧

半紙半生

半紙半生 トタン屋根もだだぐもり 半紙で拵えた隣人と、 パルプの山でぷかぷかやる よりいつそうの曇り空 むこうの屏風は箔押しで 霙の氷菓がちらちらしている こちらの方はといえば 仔猫になつたり、林になつたり、 はたまた稲光となつたり なにせ人造瑠璃…

無題

無題 花毯の日は照り ここらは病具ばかりで、 茎のお前には辛かろうよ たまに来る便りや 色とりどりの花束を、 慈雨のようにして待つ くちに紅を指して

電流鏑馬

電流鏑馬 雨中に巻き髪はねて どこまでコンクリ模様 ぱしぱしはねては 空間粘土の曇りそら あま沓の色合いだけ ぽつぽつぽそぽそ 鼻先につつかかる こんなのもあるでせう 矢鱈とクレヨンなのは ひかりの淡い車のせい 白いカアテンのなかで あおやあいやくろ…

庵1

庵1 山から下りた霧深い ふるさとにも コスモス咲いて プラアスやマイナスの 田んぼにねえ、 稲やビイ玉のキラキラが 川下に流れていく 二世帯の季節は 淹れたてのマント飲み 神社の脇に腰をかけている こちにきいや、 標識に映る三角なんかも みんな流れて…

空の蓄音機

空の蓄音機 あゝ、九月一日は 空の蓄音機でいつぱいだ ちやうど太陽の横に ハンドルがあつて たれかがギリギリやる メチルの濃い縁側で(夕七つはアマデウス)二十か、二十一だつた たしかそんなやつであつた みずいろの病衣を着て 畳に寝転がつていた 夕板の…