空の蓄音機
あゝ、九月一日は
空の蓄音機でいつぱいだ
ちやうど太陽の横に
ハンドルがあつて
たれかがギリギリやる
メチルの濃い縁側で
(夕七つはアマデウス)
二十か、二十一だつた
たしかそんなやつであつた
みずいろの病衣を着て
畳に寝転がつていた
夕板のあいつやあいつ
そんなにももうはやくに
さぼつているから
(暮六つのチアノウゼ)
シーツはもう間に合わない
俺はけふけふ、俺はけふけふ、
みな工場から引き上げる
絆創や電鉄なぞで
俺はひとりキリキリやる
ひとり、懲りもしないで
真空の甕になみなみと