2015-06-01から1ヶ月間の記事一覧

無題

無題わたしとあなたと 石の棺に黄昏がやってきて 賢者はなにもかもを告げる たとえ灰になろうとも丘のうえに鐘がなる それでもその手の震えを 愚者はとめることはできない いずれ翅をもがれようとも虱をはいた水無月は やがてそらの桶に暇を求め あなたに手…

無題

無題あなたは空を眺める 脾肉のついた翡翠のくもは 暦の梯子からすべりおち やがて標本されることになる木こりをたずねるといい あなたは断面を知れるだろう 飾られ削られた沈黙を たとえかた眼をもがれても蝶番はすぐそこにある それに囚われすぎてはいけな…

無題

無題詐病につかれた時計は 決してうつつを裏切らない 秒針は北の方角を示す わたしもあなたも旅人であった葡萄酒はいつも語らない そろそろ錨をおとしてもいい 金具のない夜はつまらない あなたはもう知っているのだから鏡のまえのあなたは 静物画のなかの果…