2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

無題

無題 電子波浪の 夏のくも 畦道から見える 高架の上を あるいは白鍵盤か かたこと音立て 金水引の鮮やかな ローカルは 曲線を描いていく 廃線のそらを その両輪で

ひねもす手帖に

ひねもす手帖に おれは杉の群青に立ち 花被の暗いステンド製から 希少銀貨の空を見上ぐ 天線は掘削道につき あちこち切手に綴られる パリパリの風に果房も揺れて ドラムのような空のなか 窓辺にびつたりとついては がらがらと回つていた ぽつねんひとりきり …

無題

無題 蚊帳から臨む 出納帳に登る日は 顆粒の午後保ち これは金蘭あれは銀蘭 がたがたの山路や 朝市で仕入れた天を ぞふぞふ仰いで 歩廊のブナを行く 蕩けるような 在りし日々につくつくと おれは影を踏んでいた それが商人なのです だれかがさう言っていたか…

無題

無題 芹のような心持ちは 白壁ビーズに糸垂れで 外はしあしあ煩い どちら様でしょうか やるかたのない心情も 草丈分ノートしてやれば 心は文鎮なのですから それ相応に見えるのです サーカスに拐われた日 女流なら菫でせうか

無題

無題 なにがしは氷嚢に 枕と異邦人は恋をして 夏の甘草ビオラ鳴れ ファルトの割れた弩の張りを 波浪にならべては ぱちぱちと調子の狂う 弾きの硝子の流れ着いては 天のお供え物になれやと はいいろの風や 物珍しい日々の出来事を よくよく陳情したのですから…

無題

無題 こんな美空のかどばつた ブチも月の額屋へと なみなみグラスに注がれる 茫洋とした一景などは 当然ガス入りなのですから いまの為替で換算するならば 銀貨三枚が相場でせうか(いずれ心持ちも抜け落ちて 只の伽藍と相成り候)