2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

心中モノクローム

心中モノクローム 雨模様の落書き染みて 線の細いやつや太いやつ てぬぐいの調子の狂つた これではまるで看病できぬ かさかさのひらを額に入れ 名無しの権兵衛の芒となり候 このような化粧のあるものかと 納屋に匿うやうに或いは泥棒か へどろのついた窓を見…

俯瞰乱雑

俯瞰乱雑 なればきつと 君も小石なのでせうよ モリトクで髪もまとめた 電気化粧もくもつて これでは納期に間に合わぬ 巧言令色の曇り空を たわしでごしごしやるやうな こちとら例の如くに 無賃乗車でありますれば なんとエイテルのせつない これでは猿捕茨の…

望遠桃源

望遠桃源 若しこの陶器のやうな ぬけるような蒼さの塗材が あればどんなによいかと 逐一、おれはさう思う 強引にごしごしやる度に 風も吹いては文字もぱらぱら 印字のパズルはシヤボンで 日経やら般若のやうだ かびた布団に包まる日には きまつて窓にはりつ…

浴槽図鑑

浴槽図鑑 浴槽で図鑑を眺めていると どうしたものやら夜の分厚い これは火急の用件であるやうで 鯨や鳳などを捕まえる頓智も おれにはまるで浮かばず この竿先の針でオーロラや 延長あるいは意識そのものを 達人や名人はえいとやる そのやうな業を三十あまり…

動揺とクローム

動揺とクローム 黒い毛布はコヨーテで オリオン座から落ちてくる テトラの泪のぱりぱり落ちて 表裏に白紙のさいていに がりがり尖る工夫でもあらば どれほどよかつたでありませうか 交流や直流も病躯になるものでして ケロイドのやうな精神に いつもいつも強…