2017-11-01から1ヶ月間の記事一覧

サロンエプロン

サロンエプロン おまえはいつかさう 白い校舎を建てるのだと かつかつと頬火照り からきし百日紅のやう 手書きにカアルブツセなど 若しおれに改行のあらば どんなによかつたであらうか 二十四箇年も擦り切れて 外は変に明るいのであるから もうこうするほか…

木通とマフラー

木通とマフラー たとえばこのやうに 大崎の黄色もチーフ風で 空から降るコンクリ製 おれは三角州に立ち けぶるネオンに植えられた 天秤鉄筋の変奏曲を それは一体どんな様だ (ここが六曜社であれば どんなによかつたであらうか) 風のついたての分厚い これに…

俯瞰蒸発

俯瞰蒸発 甘いトローチの逗留は どこか錆びた天使のやうで おれは夕暮れに佇む 舌で転がす昼なんぞは 澹蕩の田園を行き来して 白いカーテンで繕つた まるきり田崎であつたのに 空の一面パールの糸くず どうしてこうなるのだ 闡明なれば出来べき筈だ いずれ朝…

俯瞰洗濯

俯瞰洗濯 漂白だらけの封を切り 空から蔓のもたれてきる ねり消しで雲をごりごりやり 終ぞそれでは様の無い 平身低頭のクロワツサン 黴の生えたこの毛布のやうで 茶色い軽視の前髪すらも かかる風情に詠み人知らず 硝子に混ぜた日光の これらは英国ステンド…

杉山トローメライ

杉山トローメライ 俘囚のごとき風袋で 背にもたれるなにものか おまえは古体の簪で 先方のお歴々を前にしても そのやうに鬼灯なのだ それはそれで立派ではないか 得心の行くまで漕いで 金森から出でて果樹園へ はたまたフルムーンの傍まで 風はきりきり砂塵…

ヒデリコ

ヒデリコ べたべたとした 粘土のぽしゃりと止んで ここからはヒデリコか どちらに歩くべきなのでせう ええ、きつとそうなのです ヘンテコな日輪や月光へ 逆向きに歩き出す者もいて おれはひとりここに居る 素足で水面をてらてらやれば もうゆらゆらの遊戯場…

サ変と未然形

サ変と未然形 かじかんだ手をやらば 明礬そのうち転んで やけに金木犀の匂いの強い 山林歩廊で襟を立てては 北風もピウピウ吹いて 形而上水面青鷺遁走 この理科室の研究成果で おれはあの月を射る こんな低い月だというのに まるきり的の外れている ここらに…

驟雨

驟雨 当て字のエチュードは 夕暮れに噛むポッキーで ポキンとやるほど切なくて あれやこれやと荷台に積む 埃のついたガム余り このやうな重なりすら いまの俺には手に余る のべつまくなし繋いでは おかつぱに風船ぱちん たといば琥珀の粘膜あらば いい具合に…