ヒデリコ

ヒデリコ



べたべたとした
粘土のぽしゃりと止んで
ここからはヒデリコか
どちらに歩くべきなのでせう
ええ、きつとそうなのです
ヘンテコな日輪や月光へ
逆向きに歩き出す者もいて
おれはひとりここに居る
素足で水面をてらてらやれば
もうゆらゆらの遊戯場で
蒸泄のやうにこころも
何処かにいつてしまうのではと
ブラシでごしごしやつては
旱よりは幾分ましだと
そのやうに強く思うほかなく
粘土細工の煙草を飲んでは
随分と足のはやいものだ
などと念仏を唱える
やはりおれもヘンテコなのか
ひたすら腹に手をやつて
二丁目の女優のごとく
ツンと顎をとがらせるのだ