2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

俯瞰生業

俯瞰生業 白い頓智はシーツに針で もう八月にならうというのに 霊長類の哀しいホルマリン これもあれも翅の人なのだから さういう部位はことさらに 自鳴に琴というわけにもいかず ひとつも欠けてはならない 故事はテレコになりさえすれど 盆に返らずとは斯様…

無題

無題 またぞろ手を叩き 万事快音なれば こうして日を担いで ぼやぼやの厚着の昼に それもこれで不肖者 手際にはりついたこの 暗いべたべたを あの窓際にはりついた このーーーー別離 まるきりシヤレイド 絶句があらゆる腹呼吸を どうにも間の抜けた おまえは…

無題

無題 卑近と頷くころあいは これもまた雨中の煙ですかと あらゆる字引きを引いて 煎じたもの語りは鵺であり 伸びたり巻いたりと 忙しのないメヌエツト 若し証明しやうとするなら あの高名な数学者の如く 如何にそれらが驕りであるか あまりにも手に負えぬ わ…

心象リンゲル

心象リンゲル 水夫は深く帽子を被り お忘れ物のないように、 ご支度くださいと たしかにさう/聴診器幻聴 金魚の衣擦れのひびく いちいちシロツメなのは、 二千圓ほどの漂白剤と 甲冑のやうな著莪の木々 それでもなお/空のハーバー こころの石畳はどうしてこ…

訂正人語

訂正人語 月夜のフロウレスは 三角のこじつけのやうに 瓶硝子に口唇調で もつとも古典になぞらえば おれの口調は丁なのだらうよ ヘルムホルツは尚詰る 喩えばのお伽の積み木も 人為的で(或いはピアール) そのやうな具合なのだから あの洋裁店のマダムが これ…

心象プランタ

心象プランタ おれ指鳴らさば サアクル状に花は咲き 下図の如きは美しき なお滋養の暗く 注釈をゐれずとも これは夏薊の象形で おれはさう思うからと 回文が数珠であるやうに あちこち逍遥しては 先ず色調と形状を心象に 或いは人相書とも云ふ それらをスケ…

籠鳥

籠鳥 過矯正の畦道に骸骨の符は浮かび 現象風景はこどもの切り絵のピエロ いつしかここらも時計仕掛けで アイロンのやうな空に眩暈と乾いた音 早苗を撫でる糊のやうな風に 耳を澄ませてはまたネジを巻く これらがクロウドや印象派の如く 静止した一つの幻想…

水玉少女

水玉少女 あゝあゝ、と 十代の娘の如く俯いて ひとふで描きの、 夏模様にさるすべり となりのメルヘンすらも、 晦日には水玉カラー これらを韜晦と断ずるには あまりに半ぺらゆえ、 忍び愛情の絶ち難しと 女々しいからとリフレイン 第三番ホ長調の劇甚と、 …