俯瞰生業

俯瞰生業



白い頓智はシーツに針で
もう八月にならうというのに
霊長類の哀しいホルマリン
これもあれも翅の人なのだから
さういう部位はことさらに
自鳴に琴というわけにもいかず
ひとつも欠けてはならない
故事はテレコになりさえすれど
盆に返らずとは斯様の如し
吾輩などとはあまりに大仰で
この痩せた土地には農家でなく
お医者さまや慇懃な役人ばかりで
おれはそいつらに頭を下げては
未だこころは琥珀であれと
そのやうに願うばかりなのだ
あいつもきつと呂律のくせにと
朝市には二ツカもさつぱり
われわれはこれら合金と
水洗いとでぼやけたなにかを
かかえて忙しく行き来する
そのやうな存在であるのだから
お前も完璧では在り得ないのだと
そのやうに弁えるべきなのだ
さうして水面にぎらぎらと立つ