2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

宿場町

宿場町スチイル玩具は かごめのおちごさん 中山宿場のあたり きちんと座つておる 丸眼鏡に映る手前 まるで豆腐のやうな 柔らかいひかり(ぽつりとふる春雨は なきぼくろのやうだつた)指揮者のいない オウケイストラのやうな さびれた商店街は まだきちんと座…

贋作

贋作一つ、ふうしの電柱ですやがて砂鉄まじりの春がきて ふしのないふしだらなさや そのたもろもろ 唐橋あたりにながれます三つ、おもいのお地蔵でした西洋でいふミサというやうな そのやうなこころもちで そつとお餅をそなえました 雪吊のやうな行為です五…

赤レンガ

赤レンガはすむかいの恋が ひつそりと摘まれてしまう 床几にほほついて それらをじつと眺めてはとほく汽笛の音がした 赤レンガはつばきのやうで まるでおそろしい 屋根のない心のやうだ駑馬駑馬とおいかけて また去つていつてしまう 在る、変性的情事を おれ…

冬のスケツチ

冬のスケツチしけもく色の空から ふつてくる翡翠のこほり おれの目はみどりで 空もまたみどりであつた

油池

油池悲しみあふれた ふるい油の池のそば さかさの看板が がたがたふるえる金の塀のりこえた しろい泡のつわもの 庇のない師走には こいつらがいた風のけなみを 梳かしていく手合い こういうやからは 刃びいた夜長のやうだ膳のところは いろめいた坂の道 にか…

天包丁

天包丁ふたりひと 手首のない青い人 壊れた時計 ちくたくと鳴く 拍をあわすやうに なはりひと それはまるで 枯れた鏡のやう いいやうのない まるでいいやうのない やはりやうのない じつと掌をみつめて 蒸気水銀の春をまつ ネジのない月を ぐりぐりまわして