赤レンガ

赤レンガ

はすむかいの恋が
ひつそりと摘まれてしまう
床几にほほついて
それらをじつと眺めては

とほく汽笛の音がした
赤レンガはつばきのやうで
まるでおそろしい
屋根のない心のやうだ

駑馬駑馬とおいかけて
また去つていつてしまう
在る、変性的情事を
おれはじつと眺めていた

銚子いつぱいの花びらを
ひとつひとつ数え
また床几にほほついて
只、じつとおれは月をみる