2019-01-01から1年間の記事一覧

ビニール栽培

ビニール栽培 むかうの空にねそべり爪を噛み 漂白されたベタベタの日光と 雑音ラジオに棒を伸ばし局あわせ 五枚羽の扇風機と付箋のあの丁字路 いつでも横目にまるばつしかくなのだ 子どもの背丈ほどの穂を摘んでみて これはたしかしからんと耳を澄ませる あ…

滑車

滑車 ペダルをやればもうすでに 右足は蹴り込む映写であつたから ふわり髪を梳いてはコマ送りの あれはラベンダーでこれは水車と 飼料にむらがるセルもあらば 吹き硝子に映る像はでこぼこで こんな畔にも背丈はあるから 顔の無い七三ポスターの政治家の よく…

表記ゆれ

表記ゆれ ひんやりとした縦書きの ショパンの九画が厭に騒ぐから またぞろ野良の仕業にして 遠吠えなんぞをしているのだ

自動センセイ

自動センセイ 月に釘を打つ大工のやうに いつだつて木曜日は換気扇だから あるいは無人のランドリー 活動写真のやうにこまぎれで 四部の瑠璃に六部の黒曜なんて あまりに陰惨ではないか とてちとブレては箒ではかれ あばらの浮いたその方角を この笹に包んで…

ふりかけ

ふりかけ 日の滑車に掌かざし おうとつ轆轤とひび割れて 永谷園のやうな具合で 三色刷りの有り様なのです

無題

無題 もうぼんぼりのやうな蛍が 町々の夜空を照らす一等星ですから 或いはそれらの下位に準ずる われわれはいつだつて平行存在で たといば遠藤醤油の味の濃いや薄い 一握りの米という具合なのです グリツド状の田園にある鴉除けは わたくしにほかならないの…

六月情景

六月情景 五ソルの馬車はいつだつて がらがらと廻り回送であるから 濡れたあじさいの匂いたつ この油彩でパステルの三十号 水だまりのやうな暦ばかり レマ止あまりにも乾きすぎだ 行き先のしれない加工石を いつもの蛙に高値で売り付けては 全く回送といふ御…