無題

無題



もうぼんぼりのやうな蛍が
町々の夜空を照らす一等星ですから
或いはそれらの下位に準ずる
われわれはいつだつて平行存在で
たといば遠藤醤油の味の濃いや薄い
一握りの米という具合なのです
グリツド状の田園にある鴉除けは
わたくしにほかならないのですから
なればこそ藪蚊もあの嬰ハ短調
わたくしの延長といふ器官を採血して
てんとうする日も貧血であるから
ノノ字にならざるを得ないのであります
えいとやつてはポッキイ割つて
ふたりでわけあえる間柄の
どんなにありがたいことでせうか