六月情景

六月情景



五ソルの馬車はいつだつて
がらがらと廻り回送であるから
濡れたあじさいの匂いたつ
この油彩でパステルの三十号
水だまりのやうな暦ばかり
レマ止あまりにも乾きすぎだ
行き先のしれない加工石を
いつもの蛙に高値で売り付けては
全く回送といふ御伽は質の悪い
ええと云わばそうなのだらう
平衡や均衡とすこしの香辛料で
あまりにもうゲコゲコなのだから
いつかあの棚田の譜面にも
符も並べられる日の来ればと
あべこべの群青と畔を行く
左官のきつちりしあげたそらにも
蚊帳に靄のそろそろかかる