2014-06-01から1ヶ月間の記事一覧

婦女

婦女 夏の蹄のおとがした 硝子の婦は虹あるき 露西亜製のたばこを くゆらせてたたずむ 積み木の午後をならべ パズルの恋心ならべた シンデレラの憂鬱は 虹彩ラジオの88.2帯域 ひとみは雑音であふれ 虹はばらばらにくだけ おちるは黄水晶の泪 鉄の時代にしず…

爪 軒先に爪がおちては すくいあげて缶を切る プルタブは日課のやうに 三文芝居を演じては あの鋼の椿をきりとる (よるはかぜきりひとりきり) ぼうつと椅子に腰かけた 赤い煙草とアルコオル 爪は夜のマントはおり やがて朝のプルタブを切る あの雲雀どこへい…

茎 かびたいろは さびしいおんな かきねにこほり つゆはすぎゆく ないたきやうり つきひすぎゆく やんだいろは かなしいおとこ のきさきしぐれ つゆはくれゆく とおいきやうり つきひつぎゆく

煙突

煙突 マツチ棒たべたら 三助のとこへいかう たばこをすつたら あじさいははにかんで あかくほほえんでいた まるでマツチ棒の さきつぽのやうだつた ほのくらいみちをぬけ 塗料屋の看板をまがる 煙突はさみしそうに ひとりでぽつりたつていた ひとりでずつと…

ひまわり

ひまわり 向日葵のやうな微笑みを おれにみせてくれたきみは きつといまもさびれた大垣の あのちいさな向日葵畑にいる なつがいくらかれはてても (のぞみひまわりはねとんだ) 大垣城の堀にさいた一輪花 向日葵はまるで守護天使のやう さいだあのやうな車窓な…

パスワード

荒らされたりするのが嫌なので近々パスワード制にします。別にブログ作ろうか悩んだのですが、めんどくせーので。論語の一文から問いますので、下記の単語を入力してください。 死生命也。 パスワードは荘子の一文ですね。もし僕の記事に興味をもっていただ…

旅館

旅館 旅館は座布団であつた 庭の鯉は屏風であつたふすまはしろい仲居であつた しろい目むいた仲居であつた畳の鏡は故郷であつた 窓からふいた風つかむ硫黄のにおいは足袋であつた 風はあしを運ぶ駕籠であつたからから からから下駄はお宿のお医者であつた し…

カルテ

カルテ 心電図は消毒液に浸り 麻酔されたカルテ食う日光をおくれ 月光をおくれ収監された砂漠の臍に 刺繍された女郎蜘蛛は 湯上りの赤い提灯ぼんぼんと太鼓なる どこからか太鼓なる脳病院から脱走した 活字は浅葱色の提灯スリツパはいた猫が あちこちいつた…

お化粧

お化粧 クレヨンでお化粧してあげた あの子はきつとよろこんで ちやきちやき町を歩くのですえんぴつでお化粧してあげた あの町はきつとよろこんで 看板を手術しては佇むのですパステルでお化粧してあげた あの絵はきつとよろこんで どこかの大學で微笑むので…

幻灯

幻灯 幻灯にこがれたひとみ 白黒の写真を花瓶にさし 部屋にぽつり佇んでいた コチニールのやうだつた あるいは棗のやうだつた よるはあかく染められた 牢からいくら手をのばしても けつしてとどくことはない 若い書生の書く小説だけが その少女をたのしませ…

阿片

阿片 あまみずは阿片すつて とおくへながれてゆきました かわいた洗濯物をきて なきがらこがれてゆきました しやんしやんとおし しやんしやんとおとおし えんがわはへびのかわ くるくるまかれてゆきました よるは青い玉のこゆび こゆびさらわれてなきました …

こころ

こころ 暑い夏の日であった。私と先生は海水浴に出かけた。私と先生は列車の座席に座り、がたごと揺られていた。先生は読書に耽っている様子だった。麦わら帽子がちょうど影になっていて、一体なんの本を読んでいるのかはわからなかった。私は窓から湾を見つ…

便箋

便箋 あまいこころに便箋を つみはくらい愚かだつた 花提灯はこころだつた ひとみこころに便箋を はなはさめた花火だつた 恋模様はこころだつた こがれこころに便箋を ゆうなぎは沈黙のところ 洋襦袢にしのばせてた あはれこころに便箋を ばつはくらい静かだ…

白黒

白黒 お椀のなかから蝸牛は お目玉ゆるりとつんつん しろくろのあじさいに つゆつゆとしずくたれて ぱたぱたとみじたくし とおりにでることにした さびたバス停の看板が じつとこちらをみてくる あせがほほにつららら 鉛筆そらからふつてきて あたりいつたい…

蛇 蛇口からはガソリンが どばどばとながれていく 隣人をぬすんでいれた ポリタンクの影ながめる そら蜻蛉を剥製にした 影絵をはんぶんこしよう 水面にひやんととんで そらを剥製にすることで おれはきつと影をのむ いきはかえりはしますか つるべをつたいた…

恋慕

恋慕 ほんだなはかば でんせんこうかん たいくつがくつはいて ながぐつゆびくわえて ちかくに ひかりのおりがみ おりづる ちらした しんどうはねじ くさつたくぎ かんけりなかば こどもからからん にしき たこ ちへいになく ぎんがみのなつ かみしばい たう…

包帯巻いた赤い林檎

包帯巻いた赤い林檎 町屋の片隅に菖蒲が咲いておりました 私は彼女を鋏で摘み取ることにしました そして、私の部屋の畳に植えてみました 天井から雨漏りしているのでありました 天井から覗き見すると菖蒲は恥ずかしく 頬を赤らめ赤い林檎に包帯を巻きました …

時計

時計 たくちくとちぐはぐと ちょうしんたんしんと かちこちといみもなく すすんではまきもどす じどうまきはりてまき なるほどなこれはむだ なにもないいみのない たとえるときりのない じかんすぎあくるひも ちくたくといつたふう たくちくとちぐたくと と…

銀狐

銀狐 おそらに革がありました いつぴきの銀狐がおりました あつさに干からびた銀狐 いつてきの月の泪おちました (duree pureでぶれろ黒) なみだでぶれちた風景は 革の雲をいつたりきたりして おもい法則からはなたれ うれしそうにとびはねました (duree pure…

実験

実験 もし傘がふり ある雨あがり 傘がもし 雨がもし 丁丁丁丁 ルルルル 紫陽花 包帯林 金魚鉢 もし骨折したら ねじ巻いてなおす 金魚は 撥条 ぎりりりり のびた飴が たち眩み ふうせんとばして 割れた そらには金魚と蜂がいつぱいだ もし傘がふり ある雨あが…

まくら

まくら くもりちる かづらつる さみだれ丁 かさぶたの 泪のつぶて ひかりみつ あかまくら いびつな夏 かきむしる

ぜんそく

ぜんそく たんそくなかげ ひはひげはやし かりたおびきる ひかげにすわり かたちはないて たちどまりける ぜんそくからみ せきこむおそら ひとみおかくれ ひだりめみえぬ さんかくわるつ ふれてはいけない きたないすいか えんがわできる うまくはきれない

百目

百目 薔薇の丘は ラベンダーの つぎはぎ 写真をそらに百枚はりつけた たくさんのめがこちらをみている 妖精と交尾した 通信妨害 歯車をまわす 月はつぎはぎだらけ えいようのないかぜが 丘をふきぬける サイフオンのやうな 黒い月の しずく ユーカリ垂れて …

なまえは壊疽おこし くもは鳴いて 腕木をつかんだ 瑪瑙は覚者(−) (+)おろかなきがらがみ くもつた 雲の尾をおいける なみだは発電されているのか あめがふる てがみがそら とおく 稲光は 字字字 ひはくれ 丁 夕のはしすべる つかんだ 腕木は数式(×) 脂肪…

写真

写真 青い出口は しかくいこうえんであつた (瞳は写真機) 赤い出口は まあるいこうえんであつた (空の写真機) 黄い出口は さんかくこうえんであつた (夢の写真機)

祗園

祗園 ありしひおかくれ おやすみかごやさん おつきさしておやり こばちにおよぐの きんぎよばちわれた おばちうつたたいこ まうすぐぎいおん おほこたておぼこは おかくれてなさいな おいけにうかぶの まつまんごじやうに おやたいはならぶの おめんやあめや…

黒電話

黒電話 黒電話は線のばして ひつぱつた電線は ドヤ街の踊り子のやうに 便所の鏡と逢引していた こびた青空を印刷しても ものくろにしか刷れない 菖蒲と菖蒲のポールダンス 厭らしい曇がたちこめている うごきだした活動写真は まるで昭和の女優のやう 拷問の…

蝉 かるいはなは ひだりめかくし とおりすぎてゆく おもいなみだ こころにざしき はかりかねている きいろいはた あいろんかけた ふうけいねている いみのない泪 はいいろはいろ こぼれたおこころ きみのないひ はかりかねては つきひすぎてゆく

夏氷

夏氷 金閣寺とおせんぼ めかくししたお月 四條小橋にお隠れ 銀閣寺せんぼん通 まるたきつた婦人 なわてに月お隠れ まるたのお月さま ひあがつた紫陽花 いろいろにお枯れ つゆつゆした夏至 花傘をまちわびて 初夏は錆びてゆく

月光

月光 月に釘うつた 酊にかくれた にげかえつた 光にぶれちた 酩はもつれた いきかえつた あべこべされ 町はにぎわい おいてかれた 三番目ひかれ 夜ははじらい 五線譜かれた されこべたれ 骨は月のした れつしやつく