2014-06-29から1日間の記事一覧

婦女

婦女 夏の蹄のおとがした 硝子の婦は虹あるき 露西亜製のたばこを くゆらせてたたずむ 積み木の午後をならべ パズルの恋心ならべた シンデレラの憂鬱は 虹彩ラジオの88.2帯域 ひとみは雑音であふれ 虹はばらばらにくだけ おちるは黄水晶の泪 鉄の時代にしず…

爪 軒先に爪がおちては すくいあげて缶を切る プルタブは日課のやうに 三文芝居を演じては あの鋼の椿をきりとる (よるはかぜきりひとりきり) ぼうつと椅子に腰かけた 赤い煙草とアルコオル 爪は夜のマントはおり やがて朝のプルタブを切る あの雲雀どこへい…

茎 かびたいろは さびしいおんな かきねにこほり つゆはすぎゆく ないたきやうり つきひすぎゆく やんだいろは かなしいおとこ のきさきしぐれ つゆはくれゆく とおいきやうり つきひつぎゆく

煙突

煙突 マツチ棒たべたら 三助のとこへいかう たばこをすつたら あじさいははにかんで あかくほほえんでいた まるでマツチ棒の さきつぽのやうだつた ほのくらいみちをぬけ 塗料屋の看板をまがる 煙突はさみしそうに ひとりでぽつりたつていた ひとりでずつと…

ひまわり

ひまわり 向日葵のやうな微笑みを おれにみせてくれたきみは きつといまもさびれた大垣の あのちいさな向日葵畑にいる なつがいくらかれはてても (のぞみひまわりはねとんだ) 大垣城の堀にさいた一輪花 向日葵はまるで守護天使のやう さいだあのやうな車窓な…