煙突

煙突



マツチ棒たべたら
三助のとこへいかう
たばこをすつたら
あじさいははにかんで
あかくほほえんでいた
まるでマツチ棒の
さきつぽのやうだつた
ほのくらいみちをぬけ
塗料屋の看板をまがる
煙突はさみしそうに
ひとりでぽつりたつていた
ひとりでずつとたつていた
とおくからみると立派だが
きみはずつとないていたのか
もくもくとそらに泪をため
あめよふれあめよふれと
ずつとおもつていたんだね
おれのは足しになるだろうか
そんなことをかんがえながら
くらいそらに煙を吐いた
銭湯帰りのお客がたくさん
ほてつた顔で暖簾から出てくる
赤レンガをいくらつんでも
おまえにはとどかないから
ここで泪をこさえることにするよ
すすのついた泪がぼろぼろと
そらからそらからふつてくる
いくどもいくどもよるはすぎ
そらからあめはふつてくる
煙突はうれしそうに
ひとりでぷかりたつていた
ひとりでずつとたつていた