2016-10-01から1ヶ月間の記事一覧

華奢の客

華奢の客 いざ黄色い季節になりますと ゆで汁かいた煎餅布団に 薬缶もぴうぴう鳴りました かはたれなる真夜中の甲板は ビロウドの中の迷い猫 或いは余等一行やもしれません たといば辺鄙の一行が おのずから仏蘭西訛りで 万斛の愁いをノオトしたり 薄荷のや…

羊羹

羊羹 秋穂もひやこい文鎮で とおりはいちいち面映ゆい 風はほんのり黴臭く 冊子の脚ものらりにくらり やるかたなしと酒を飲み 雨戸い打つ栗の音を 矢鱈ひふみと名付けては 硯でこさえた甘味を撒いて 野良の作法で島田を結う この羊羹のなかの事だ