2016-10-20 華奢の客 石 華奢の客 いざ黄色い季節になりますと ゆで汁かいた煎餅布団に 薬缶もぴうぴう鳴りました かはたれなる真夜中の甲板は ビロウドの中の迷い猫 或いは余等一行やもしれません たといば辺鄙の一行が おのずから仏蘭西訛りで 万斛の愁いをノオトしたり 薄荷のやうな心持ちを いちいち符にしたりします まるで万華の色がみです 我は庇に吊るされ屈託気で 杳然とぴうぴう云うばかりです