百目

百目





薔薇の丘は


 ラベンダーの つぎはぎ


   写真をそらに百枚はりつけた


 たくさんのめがこちらをみている


    妖精と交尾した 通信妨害


 歯車をまわす  月はつぎはぎだらけ


  えいようのないかぜが 丘をふきぬける


 サイフオンのやうな 黒い月の しずく


  ユーカリ垂れて  のはらは紙になつた


紙は 酸性紙であり また 中性紙でもあつた


  あいまいな  薔薇のひかりが

    
  ローズピアノの  風とおどつている


 クロス張りの夜は   籠のなかの活字であつた


  いくえにも  いくえにも 月をはおつて


 灰になつた花束を  きみとみつめていた