白黒

白黒



お椀のなかから蝸牛は
 お目玉ゆるりとつんつん


しろくろのあじさいに
 つゆつゆとしずくたれて


ぱたぱたとみじたくし
 とおりにでることにした


さびたバス停の看板が
 じつとこちらをみてくる


あせがほほにつららら
 鉛筆そらからふつてきて


あたりいつたいはくろ
 くろい雨はしろいおれを


ぎりぎりといためつけ
 あきるまでぬりつぶした


よるなのかあさなのか
 それすらもわからくなり


おれはひたすら鉛筆を
 かんではかなしんでいた


とおりの茶屋にいこう
 きつとまともな色がある


しろくろのにじがそらに
 ぼうぼうとかかつていた


蝸牛とおれはたちどまり
 しろくろのそれをみていた


とおりの茶屋にいこう
 きつとまともな色がある


バス停のかがみをみる
 おれたちもしろくろだつた


いそいそとあせかいた
 はやくいろをとりもどそう


そうしやうそうしやう
 おれは蝸牛のうでをとつた


とおりの茶屋にいこう
 きつとまだまともな色がある