油池

油池

悲しみあふれた
ふるい油の池のそば
さかさの看板が
がたがたふるえる

金の塀のりこえた
しろい泡のつわもの
庇のない師走には
こいつらがいた

風のけなみを
梳かしていく手合い
こういうやからは
刃びいた夜長のやうだ

膳のところは
いろめいた坂の道
にかわのやうに
染みがついて離れない