心象プランタ

心象プランタ



おれ指鳴らさば
サアクル状に花は咲き
下図の如きは美しき
なお滋養の暗く
注釈をゐれずとも
これは夏薊の象形で
おれはさう思うからと
回文が数珠であるやうに
あちこち逍遥しては
先ず色調と形状を心象に
或いは人相書とも云ふ
それらをスケツチしては
こうして花壇に植えるのだ
前頭葉だの海馬だのと
時計仕掛けの匂ひのほうが
よほど上等で好ましい
これに掛かるは文字盤か
行き交う人は車輪ばかりで
おれはさういう手合いを
こころから侮蔑すると思ふ



※図挿入