サ変と未然形

サ変と未然形



かじかんだ手をやらば
明礬そのうち転んで
やけに金木犀の匂いの強い
山林歩廊で襟を立てては
北風もピウピウ吹いて
形而上水面青鷺遁走
この理科室の研究成果で
おれはあの月を射る
こんな低い月だというのに
まるきり的の外れている
ここらに架かる梯子は
お隣のトタンのボテ具合
なめた螺旋もゆるんでいる
たといばの生あらば
きつとこの幻想も洗濯して
すべて乾かす事だらう
死ねば死にきり自然は水際
てな事を仰いましたがね
生憎おれは銀玉でして
或いはそれよりもつと酷い
どうかこれらが正しく分離され
幾らかの銭になればなどと
ただただ妄言を連ねるばかり