俯瞰蒸発

俯瞰蒸発



甘いトローチの逗留は
どこか錆びた天使のやうで
おれは夕暮れに佇む
舌で転がす昼なんぞは
澹蕩の田園を行き来して
白いカーテンで繕つた
まるきり田崎であつたのに
空の一面パールの糸くず
どうしてこうなるのだ
闡明なれば出来べき筈だ
いずれ朝には光を沸かして
たまには英国の紳士を気取り
給仕に砂糖やケイクを注文しては
いちいち作法に難癖をつけて
硝子越しに造園を眺める
そのやうな幻想を筆架に乗せ
廃線のバス停におれは居た
嗚呼、お前もいたのだな