動揺とクローム

動揺とクローム



黒い毛布はコヨーテで
オリオン座から落ちてくる
テトラの泪のぱりぱり落ちて
表裏に白紙のさいていに
がりがり尖る工夫でもあらば
どれほどよかつたでありませうか
交流や直流も病躯になるものでして
ケロイドのやうな精神に
いつもいつも強迫してきては
レントに写る(或いはポラの類)
流れ星の点滴をひとつ
おまえはどうしてさうしない
とき皿でごりごりやつて
薬包紙につつんであるから
星屑入りの葛湯で飲めば
さうさうに全快するのだから
遠心分離のハイカタツ
おおむかしにも似たことばかり
想い起してぽつぽつ落ちる
秋の雨とコーヒーの色は
すこしばかりにじんで視えます
不正乱視のピンボケ硝子
このやうなのでは活計すら
ドル換算でいくらなのか
淡いタコイズという具合で
雑木のやうに立ち並ぶ
あれこれや流布すらもはや
ただしい骨格でないので
おれは空をただただ睨めつけ
行き交う色の配色を只
このやうにスケツチしては
草枕のやうなふるまいで
挙句はとかく人の世はなどと
ここらに鶯なぞいるものか