夏のクラウド

夏のクラウド



手旗はいつも白衣着て
 宗風ステンド油絵に硝子
汀に仮面の打ち付ける
  ビオラももう首をつり
 そこで踊るビー玉風に
  おれは白いワイシャツの
   もうそれはからからの
 乾いた余白なのでした
  木蓮のこもつた部屋の
べたべたの扇風機のなか
  拾遺のねいろはぽろぽろと
   あれはとくになりわいの濃い
  きんやあおやおれんじいろの
 八月のくもに滴りおちる
  あの分厚い鉄のやうな
芝居じみた巨躯の名を
  どういう了見で眺めているのか
 おれにはそれがわからない
あすこの獣医にかからなければ
  きちんとこの空のいろを
 聴診器にあててほしいと思う