ひねもす手帖に

ひねもす手帖に



おれは杉の群青に立ち
花被の暗いステンド製から
希少銀貨の空を見上ぐ
天線は掘削道につき
あちこち切手に綴られる
パリパリの風に果房も揺れて
ドラムのような空のなか
窓辺にびつたりとついては
がらがらと回つていた
ぽつねんひとりきり
やるかたなしに早見を眺める
ヨハンの頃合いには
やまねこに座り琴を奏で
トンネルどこどこつづら折り
天の川に滞留した水晶体や
そらの継ぎ目を射てど射てども
あちこちの発条の発芽を
とどめるまでいつもいかずに
多年の膏の風景を硯に入れ
飽きずにがしごしとやるだけで