雪隠

雪隠

おつぱじまつた銅鑼の宵
かごめやかごめ
おあしがすこし足りまへん
雪隠のかかみのまえで
ほそいたばこをのんでいる
いやにながいやつだつた
ながいつとめの束の間に
かごめやかごめ
煙のやうなやつれた頬に
さいた花弁を鋏にて
ぱちりときりとつては
其れたたみに植えたらええ
かこめやかこめ
野良のこそどろ偲ぶこい
ひとつ、一服つけたなら
手前、明けの鴉をじつときく
ものこい情事に紅がさし
廻りにいるのはたれだらう
ふたつ、一服つけたなら
お前、おとこのいろの香を
沓の帆つけているだらう
なんどためらつたことだらう
かごめやかごめ
どぶにへちまもありやしまへん