途中峠

途中峠



くつひも結んだ雲ややこ
文つきては蜘蛛の糸
あらかたほどいた日和は
まるでわかれた女房のやう
ひきつた伝馬は水をのみ
あいわかつたと走ります
すだれの柳は暮れにゆれ
なみだぽろんとこぼれます
われがわれがと人の群れ
ややこを抱いた女の暮れ
あまがしとんでせみのこえ
途中峠のお茶屋に団子
たくさんおたべになるとよい
ややこおぶつてお地蔵さん
おそなえいらんかたずねます
お地蔵さんにはお団子を
ややこさんにはわたがしを
下帯こずれてまたあゆむ
おぶつて堂前茣蓙を敷く
腰帯ずれて東山とぷり
寄せて太鼓のお相撲さん
蓮華寺でもまたとぷり
寄せてもとはお武家さん
鞍馬山でもまたとぷり
寄せて天狗の紙芝居
日に三度帯ほどいて
きちんきちんと泊ります
途中峠のせみのこえ
ひとみあざみさかせます
そのやうなことがありました