田楽

田楽






白んだ河岸は照りかえし
 うすいひかりが庵をあんだ
  あずまからたちのぼるおびが
   ぽうつと踊つて朝をほどく





いばら野原にも澱ができ
 天つ神のオペラが上演され
  にごつたそらは水鏡のそら
   ニーベルングの朝をほどく




みやこは鉾たて雨かえし
 しずかなつぶが土を潤した
  ここのてんじやうは梁がない
   ひかりは傘をすべつてはねた




なんとはたねを独逸へと
 荘園に納された田楽と共に
  かすんだ異国は手鏡のなか
   テラスで女は指をはいていた