七夕

七夕



すぎた陽射しは
拍子のこわいろ飲んで
ころあいよんでは
おぶかけた友禅です
かけつけたまるやま
七夕のぬけがらは
賽銭箱のなかでした


すとんとくだつて
ひとつマツチを擦つた
すとんとくだつて
ふたつタバコを吸つた


うしのむこう
青い畳に目が咲いて
いくらかつつんでは
おぼれはてた十六夜
じつとたたずむのです
花見小路のすきまをぬい
すずの音あおいでは
そぞろざわめく蝦蟇の口
京の七夕ルーマプラザ
翅の生えたはんなり横町
午前一時のころあいに
南座のほうへむかいます
午前一時のころあいに
北座のほうへむかいます


すとんとくだつて
ひとつマツチを擦つた
すとんとくだつて
ふたつタバコを吸つた
すとんとくだつて
七夕の宵のことでした