所帯

所帯


よるの太鼓の
あまりにひどく
嗚呼、糸の河
流るる血たまり
かちんと鳴る
もうもうはかない
むらさきの
暗いせともの
背に佩いて
あてどなく、
ゆらんゆらん
鈴虫おいかけては
ほとほと、まいりて
頬紅の艶の出来
雨のみ綴りて
ゆくばかり
火消しの鏡、烹
間の女にうつるは
障子のぞきみ
合いの手いれん
我が身のみぞ
ひび、椀のかけら
かけるものなし