掛時計

掛時計


ころあいみ
張り替えた障子は
化粧水のやうで
べたべたしていた
風のはなびら
狂い咲き、でも
灯りはともらない
ともはたらき
焼畑のにおいを
空の花瓶に詰めて
額縁にいれて
異邦人をじつと見る
骨のない家は
まるで子供のよう
狼はいないけれども
本のほくろを
いくつか、数えて
まくらにしては
煙草くゆらせ
所在ない時計の針を
また数えなおす
かちこちかちこち
夜はもう懐にあつた