無風アンコール

無風アンコール



咲く花のにほふがごとく
与件はさうではないのであるから
日は散りいつしか既往を咎め
おれは花押のないビジヨンだからと
いやに外はかぜがつよいから
猶更に不完全性定理ではないのか
こころの巣をガタゴトやれども
自然に立つコートの美しき
これらパストの便りを待っては
いつだつてらい病の鷺なのだから
変わり雅号のあいつのほうが
三世に渡り変わらぬ彦星に相応しい
あゝ夕やけ小やけのあかとんぼ
花も散るらん止マル者のなかりせば
おれも星の林にこぎ隠る見ゆらん