甘い恋



甘い恋は日和つづき
 春の心は穏やかです


おそろのワンピの灯たち
 辻に砂塵は吹き荒れます


白く濁った雪洞は
 あの娘の巾着見つけます


原生天の日和には
 つと奪いますつと奪います


夕餉のころには林の中で
 紅花は男に食べられます


嗚呼!巌のような波は打つ
 白湯のごとき恋なのです


嗚呼!膾のような暗がゆく
 夜露のごとき恋なのです