独白

独白




純粋持続の花束と
 べっ甲の市松人形
ビードロの蔓が生え
 美女に庭師は平伏す
さもありなんと
 わたしはおもひ
いまいちど蒸気になり
 わずか冒頭の三行に
亜鉛の幻想を省みん
 おおよそ天におそろしく
またそれは獄に抱くには
 あまりに甘美すぎるのだ
郡山の吉野には
 蓬莱ありしかなかりしか
みな口をそろえて云ふ
 我らにほひをたがえども
甘露の沼地に踏み入れて
 蒔絵のやうに煌くべし
みな口をそろえて云ふ
 君らおもひをたがえども
遠路の荒野に踏み入れて
 錦絵のやうに移ろうべし
小舟は丈夫を共連れて
 いまにも穹を渡らんとす