金魚

オマージュ






猫の目みたいな月に
どれだけレンガを積み上げたら
とどくのだろうか
くぐもったガラスのむこう
水槽のなかの魚は
夜空を見上げながら
ただよいさまよっていた






誰も来ない部屋にいて
どんなに朝が来ない事を
願うのだろうか
いくつもの日々のむこう
靴紐を結びなおして
また歩きはじめるんだ
心は少し軽くなっていた






どうしようもなく遠くて
決して届かないとしても
どうしようもなく迷って
決してたどり着かないとしても
私はきっと一人、歩きつづける