2014-04-28 怪盗 石 怪盗 お月さまを盗んだ少女と羊 羊は銅貨を洗い、時は名を告げた 栞にはさまれた少女は御伽噺のなか 面相のない夜は、書庫の中で眠りつづける めえと鳴く銀紙の簪が揺れている シトリンの羊は螺旋階段をあがる 少女はいばらのひとみで夜をみつめる なのるべき名を、もはやもつことはない 羊はなお金貨を洗い、時は名を告げる ひかりのオルガンが少女を照らす 鯨の赤い糸をつたってひかりはおりる お月さまは少女に恋をしてしまった