看板

看板








処女きつたやうな
麻であまれた夜が
くるくるとねじまいて
午後十一時を下車した
電車は鵺をはこんできた




二番出口の看板
市松人形たべてひた
飴細工のやうに
ぽきりといつたぐあいに
ひたひたひたひた




三番出口の看板
夜の艶研いでた
鏡のなかには化粧品
ぽんぽんといつたぐあいに
ぽんぽんぽんぽん




四番出口の看板
公衆電話回してた
顔のない駅員まわる
くるくるといつたぐあいに
くるくるくるくる




童貞きつたやうな
群青でくまれた朝が
ぼやぼやと蹴りだされて
午前七時を下車した
電車は鷺をはこんでいた




あざとい一夜がほろんと
いつてきアルコホル
あかるい一朝がぱりんと
いつぴき黒スーツ
と在る日の出来事でした