祇園

祇園












つと三つ指たてた
  白無垢の鉄砲百合の
    鼻緒がきれていた





 

若旦那はそうつと摘み
  こゆびの紅いひもで
    鼻緒をすげてやつた







ぽうとほおをあからめた娘は
  うれしそうにわらつていた
    ちやきちやきとさつていつた






ちやきちやきとこ走りで
  祇園の宵に花は散りいそぐ
    煙管の火は身をもこがす






おいおい、なあんでさ
  おいおい、どうしてさ
    よいよい、かまわんさ






若旦那はにがい宵の蝦蟇口を
  きつとにらんでさつていつた
    祇園の宵に花は散りいそぐ