人力車

人力車

月夜によごれた十二月
ほつれた絹糸つくろうて
ガラスの障子をじつと見る
おれはそれらをじつと見る
やまあいの禿げた棚田に
よごれた字面をぬいつける
映写機廻る歯車さんや
テント小屋のおやつさん
こまりこまつて雪宿り
やせたインキにふる雪は
どこかほちけたこころのやう
われたまんじゆう照らしては
刈られる、月夜とおれの掌