2014-12-19 雪月抄 石 雪月抄 なんてんカラアの紅いほほ 口もとかくして走り去る 毛糸の絡まるカラアドは ほそい小雪であみあげた 処女のがらくたであつた おもいの丈の吹きすさぶ ネオンちらつく街のかど 踏まれた影とゆうくれを 珈琲カツプでのみあけた まあるい窓のむこうがわ 摘んだ泪のくれないは ピンボケした窓ガラス 真綿の雪によく染んで まるでなんてんのやう 筒をとどける霄のやう 在るやうで又ないやうな 唐人の寝言とシヤボン玉 シルクの絡むあしもとを ぎいと踏んだは雪月の抄 語りべ知らず降り積もる