うきわかもめ

うきわかもめ

縫い針のやうな春がきて
マツチ棒を靴ですると
屋根うら部屋はどんちやんや
それはそれでカビ臭い
はがれた景色をじつとみて
ボレロの窓際でじつとみて
俺はまたもくに火をつける
あの頃はマルボロとねんごろで
いまはワカバとそのやうだ
これをカテイテルというのだろう
それは沓のやうに窮屈だつた
どこかつぼみのやうだつた
在るうきわかもめの春だつた