Chimaera to Ore

Chimaera to Ore



そしていつもの黒縁は
 擦り硝子のピンボケです


(具合の悪い揚羽蝶
 苔の生えた指先、灯る)


 額の夜道に飛ぶ花粉
  絵の具の飛沫かもしれぬ


金箔のそいつらも
 きちり油絵に納まつて

 
 (指紋のべたついた翅
  お前はそれを売るのだ)


麹や味噌なんかや
 フェルステンベルクとで


 道理なんぞもくもってます
  擦り硝子を拭けども拭けども


ヴァイオリンと夜汽車で
 踊るレールに俺は居たのです