俯瞰天球

俯瞰天球



水性の春雨パラム弾
冷気でほとほと疲れたのか
黒うさぎもいつからか
あまり連弾をしなくなつた
さんかくしかく独逸語で
左にはめこむ天球硝子
おれはそいつらが欲しい
いちいち透明なやつをくれ
製鋼や三菱なんぞいらん
お前たちのノギスの具合は
とうの昔にいかれているのだ
そのやうに思えてならぬ
ごしごしやつて視えないのは
算盤はじいたゲルのゆえ
もうじき左眼に桃色咲いて
嵐電ケイブル切符切り
あの木電の影のろくでもない
これであるから医者という
一家に二台も三台もあるやうな
職業についている輩は
ネクタイや調度品を集めたり
部屋に金ぴかで舶来製の
エンゼルをはりつけるのだ
お前はきつと白うさぎ
まるきり譜面は白紙に電線
軍人もぎりがやつてきた
銅貨三枚におれはうつむいて
ぷかりとやるほかないから
グウテライゼなどと吐き捨てる
おれの隣席の縫いぐるみは
白カアテンであつらえた
つぎはぎだらけのカデガン着て
かたかた景色を眺めていた
枕木はおれとお前のやうでいて...
いずれにしても北極星
透明な旗を立てるわけなのだから
おれはこう言うほかないのだ